【2020年最新】ワーケーションのメリット・デメリット

近年テレワークをはじめとするリモートワークが浸透してきていますが、同じような働き方でワーケーションというものがあります。ワーケーションは従業員のストレスを緩和したり、仕事で新しいアイデアを閃きやすくなるなどのメリットがあり、また働き方改革にもつながるとして注目を集めています。

この記事では、ワーケーションとは何か、そのメリット・デメリット、導入事例やワーケーションに向いている職業などを解説していきます。

ワーケーションとは?

ワーケーションとは造語で、英語で仕事という意味のWork(ワーク)と、休暇という意味のVacation(バケーション)を合わせてつくられました。オフィスとは離れた休暇施設などで、休暇を取りながらリモートワークをするという新しい働き方で、今欧米を中心に世界的に浸透しつつあります。

日本でも日立製作所や富士通といった大手企業もワーケーションを取り入れ始めており、新しい働き方として注目されています。

テレワークとの違い

ワーケーションはよくテレワークと混同されますが、明確な違いがあります。テレワークは、単純に仕事をする場所がオフィスから自宅になったというだけです。一方ワーケーションは、一時的に観光地などで過ごしながら仕事をするのが基本です。

また、テレワークは休暇など関係なく働くのに対し、ワーケーションは休暇を取ることが目的になっていることも異なる点です。

有給休暇の使用を推進する目的も

会社の社風やオフィスの雰囲気にもよりますが、会社員の中には有給を取ることに抵抗を感じる人もいます。その理由は、主に同僚が働いているときに休むのが後ろめたかったり、自分が有給を取ることで他の同僚に仕事の負担がかかるのを避けたいというものが多いです。

その点ワーケーションなら休暇を取りながらも、仕事をすることができるため、安心して有給を取ることができます。このようにワーケーションには、従業員に有給休暇の取得を促す目的もあります。

ワーケーション対応施設も増えている

国内にもワーケーションに対応した施設は少しずつですが、増えています。例えば長野県のリゾート地では、リモートワークを推進するための、Wi-Fiやワークスペースを備えた旅館やホテルがあります。また、ワーケーションに使える施設を検索できるスマホアプリも登場しており、ワーケーションの認知度が高まっているのがわかります。

ワーケーションの6つのメリット

このように注目を集めているワーケーションですが、メリットは大きく分けて6つあります。導入することで一体どのようなメリットがあるのでしょうか。

仕事の効率が上がる

ワーケーションのメリットとして、通常の業務よりも仕事の効率が上がるということが挙げられます。心理学的に、人は先に報酬があることがわかっていると、モチベーションが上がることがわかっています。

例えば、「この仕事が終わったら観光に行こう」といった目標を掲げると、観光に行くために仕事を効率よく終わらせることができるようになります。すでに観光地にいるため、終わったらすぐに観光に行くことができることもあり、モチベーションの維持がしやすくなります。

そのため、ワーケーションは仕事の効率を上げてくれる良い働き方だといえます。

リフレッシュできる

ワーケーションの魅力は何と言ってもリフレッシュできることです。通常はゴールデンウィークや年末年始など、決まった期間にしか旅行ができなかった人でも、時期を選ばずに旅行ができるというのは嬉しいことなのではないでしょうか。

そういった開放的な気持ちで働けると、仕事も捗ります。
そして、従業員の生活の質が向上すると、仕事のモチベーションが維持でき、向上性・生産性・効率アップにつながったり、離職率を減らすことができますので、会社にとってもメリットがあります。

環境が変わることで新しいアイデアが生まれることも

ワーケーションを利用していると、仕事の新しいアイデアが浮かぶことも期待できます。環境を変えて現地の人と触れ合ったり、いつもと違う景色や料理を楽しむことで新鮮な気持ちになれるからです。

ワーケーションでの行き先が海外だった場合は、特に大きな刺激になるでしょう。違う文化に触れることで新しい考え方を学ぶことができ、仕事にも良い影響がでる可能性が高まります。

ストレスが減る

会社員にとって大きいメリットの1つは、仕事のストレスが緩和されることです。

上司がいない場所で働けることや、満員電車に乗らなくて済む(交通渋滞に巻き込まれなくて済む)ことは大きなストレス緩和につながると言えるでしょう。

従業員のストレスが減ることで、仕事に対するモチベーションアップや仕事の効率アップも期待できます。勤務中の移動というものがなくなるため、仕事に充てられる時間が増えるのもポイントです。

家族との時間が増える

仕事をしていると残業や休日出勤などで家族との時間がなかなか取れないという人もたくさんいます。
ですが、ワーケーションという働き方に変えると、家族と一緒に過ごす時間を増やすことができます。

なぜなら休暇施設に家族と一緒に行くことも可能ですので、同じ家にいながら仕事ができるためです。仕事が終わった後や、休日などは家族と好きなだけ一緒に過ごせますので、生活の質が向上します。

旅行しながら仕事にも集中できる

通常の働き方で長期休暇を取る場合、人によっては後ろめたさを感じたり、有給休暇がない人は収入面で不安を感じることもあります。ですがワーケーションは働きながら旅行ができるため、安心して休むことができ収入も継続的に得られます。

ワーケーションの6つのデメリット

ワーケーションはメリットだけではなく、もちろんデメリットもあります。多くのデメリットは人と会わずに個人で働くために発生するものであり、今後の改善が期待されます。

労働時間の管理が難しい

ワーケーションのデメリットとしてかなり大きいのが、労働時間の管理が難しいということです。エン・ジャパンの約500社の中小企業を対象に行ったアンケートでは、テレワークを導入する上で一番難しかったこととして「時間の管理」が1位で68%を占めています。

通常のオフィスでの働き方であれば、出社時間が決まっていたり、タイムカードなどで従業員の出社や退社が簡単に管理できます。ですがワーケーションの場合はそれを把握するのが難しく、怠慢により実際の勤務時間が少なくなってしまったり、逆に働きすぎにより疲労が溜まってしまうということもあります。

残業時間の把握も難しく、サービス残業を頻繁にしなければならないという事態も起こりうるのです。これらのことから、リモートワークにおいて労働時間の管理はもっとも難しい問題といえます。

コミュニケーションコストがかかる

リモートワークにおいてよく言われている問題として、コミュニケーションコストの増加があります。普段なら席が近く会話だけで済んでいたものが、少しのことを伝えるだけでも時間がかかってしまい、効率の低下を招いてしまうのです。他にも以下のようにデメリットがあります。

・口頭に比べて文章を入力するのは時間がかかる
・文字でのコミュニケーションは感情やパーソナリティーなどが反映されにくくなる
・文字だけでのコミュニケーションによる認識の相違が生まれる

相手の表情がわからないため、「怒っているのかわからない」「重要なことなのかわからない」など、業務を行う上で致命的な問題になる危険もあります。

こういった理由でリモートワークによるコミュニケーションコストの増加は避けられません。コミュニケーションコストを最小にするためには、最低限チャットやオンライン会議などの、ICTツールを導入すべきでしょう。

業務状況を把握しにくい

ワーケーションはテレワークと同じくリモートワークになるため、従業員の進捗状況を把握しにくくなります。チームワークで動かなければならない場合、これは大きなデメリットです。

対策としてはICTツールなどを使い、コミュニケーションを密に取ることですが、これもコミュニケーションコスト増加につながります。これに伴い、勤怠管理システムなどを導入する企業も増えています。

セキュリティ問題への懸念

ワーケーションにはセキュリティ上の問題もあり、このためにリモートワークを取り入れられない企業もあります。一部の会社員は、会社のパソコンを自宅に持って帰り作業をする必要が出てくるでしょう。

会社のパソコンを自宅のインターネットに繋ぐことで、ウイルス感染する可能性が考えられます。また、パソコンの物理的な盗難、ログインパスワードの漏洩なども起こらないとはいえません。自宅のパソコンを利用する場合でも、チャットツールなどの会話情報が漏洩してしまう危険もあり、こういった機密情報の漏洩が懸念されています。

仕事と休暇の線引きがあいまいになる

また、仕事と休暇に対して線引きが曖昧になってしまうということも考えられます。ワーケーションは休暇と仕事を同時に行うというのが特徴です。そのため、従業員によっては「休暇中なのに仕事をしなければならない」と考える人もいます。有給休暇を使ったワーケーションならなおさらです。

これにより、仕事に対しての不満が増えていき、ワーケーションが逆効果になることもあります。これについては、ワーケーションをどう捉えるかが重要になってきます。テレワークのように、「自宅で働く」が「観光地で働く」に変わっただけだと考えれば、そこまで問題にはならないでしょう。

特定の仕事内容に限定される

ワーケーションはテレワークなどと同じく、インターネットを利用して仕事をするため、業種によってはワーケーションが不可能なもの、難しいものがあります。プレゼンなどは、オンライン会議ソフトなどの普及により、以前よりも容易になってきました。

ですが、実際に会って行うプレゼンに比べると便利ともいえませんし、相手の表情などがわかりにくいため説得力やインパクトにも欠けます。また、物理的に不可能な職種もあります。例えば営業や、パイロット、飲食店店員などです。ワーケーションは、こういった現場に出て働く必要のある人には無縁の働き方だといえます。

変わりつつある働き方

ワーケーションはまだまだ登場したばかりの新しい働き方ということもあり、デメリットもありますが、うまく利用することで今よりも効率を上げることも可能です。また多くのストレスを抱える日本人にとって、休暇を取りながら働けるというのは企業にとっても従業員にとっても、大きなメリットになります。

これからさらにテレワークなどのリモートワークが普及するにつれ、労働時間の管理、コミュニケーションコスト、セキュリティなどの問題は解決してくるでしょう。

そして、ワーケーションがどんどん普及していけば、企業も従業員にメリットがあるように積極的に社則を変更していく可能性も高くなり、ますますワーケーションが利用しやすくなっていくでしょう。

国内と海外でのワーケーションの導入事例

日本では大手企業が次々とワーケーションを導入しています。例えば、JAL、JTB、三菱UFJ銀行などです。他にも、いくつかの地方自治体もワーケーションの導入に積極的で、和歌山県・沖縄県・長野県などが挙げられます。実際にこれらの企業や自治体が、どのようにワーケーションを実施しているのか見ていきましょう。

国内での導入事例

日本航空株式会社(JAL)

日本のワーケーションの先駆けとも言えるのが、JALです。2017年にJALは初のワーケーションを実施し話題になりました。JALの従業員は毎年7~8月の間に、最大5日間のワーケーションが利用できます。ですが、残念ながらパイロットやグランドスタッフなど、現場で働く従業員は利用できないこととなっています。

株式会社JTB

働き方改革の影響を受け、旅行会社のJTBでも2020年に、従業員が休日や休暇を利用してハワイでワーケーションを利用できる「ワーケーション・ハワイ」が実施されています。行き先がハワイということもあり、「サーフィンをしながら時々仕事もできる」と話題になりました。

地方自治体

企業だけではなく、和歌山県・沖縄県・長野県などの地方自治体もワーケーションを取り入れています。例えば、和歌山県は平成29年度からワーケーションを推進しており、「和歌山ワーケーションプロジェクト」を立ち上げました。

和歌山県はワーケーションを「価値創造のためのツール」と位置づけ、訪問した人々に対し非日常の生活を通じたイノベーション創出の機会を提供しています。これまで100社以上の企業が和歌山県でワーケーションを実施してきました。

海外での導入事例

NTCA–The Rural Broadband Association

NTCAはアメリカにある地方ブロードバンド協会です。従業員はワーケーション中でも、旅行先から会社のシステムにログインすることができます。ただしワーケーションを体験した従業員の中には、休暇と仕事の区別がないと不満を感じている人もおり、それを解決することが今後の課題となっています。

まとめ

以上のようにワーケーションはメリットもデメリットもあり、導入時にはこれらのことに留意して導入する必要があります。また、適した職種も考慮しなくてはならず、具体的にはワーケーションに向いているのは以下のような職種です。

・ビジネスマン
・経営者
・エンジニア
・デザイナー
・カスタマーサポート

全体的にパソコンだけで仕事が完結する職業は、ワーケーションに向いていると言えます。それから、比較的自由に動ける経営者もそうです。
実際に経営者のための、ワーケーションコンサルティングプランなどを提供している会社もあります。経営者は特にアイデアの閃きが重要になりますので、休暇も兼ねてワーケーションを利用してみるのもいいのではないでしょうか。

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ワーケーションとは?

ワーケーションとは造語で、英語で仕事という意味のWork(ワーク)と、休暇という意味のVacation(バケーション)を合わせてつくられました。オフィスとは離れた休暇施設などで、休暇を取りながらリモートワークをするという新しい働き方で、今欧米を中心に世界的に浸透しつつあります。

日本でも日立製作所や富士通といった大手企業もワーケーションを取り入れ始めており、新しい働き方として注目されています。

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